演出を終えて、役者たちの底力

舞台「99才まで生きたあかんぼう」

大盛況で東京千秋楽、名古屋千秋楽を迎えましたよ。スタンディングオベーションの嵐、圧巻でしたね。

演出を終えて思うことは、役者たちの芝居に向かうひたむきさと純粋さでした。

今日はこの舞台の素晴らしいキャストの素顔をあかします。

座長の村井良大は7年前の「醒めながら見る夢」からの付き合い。

立派に成長しました。役作りへの執念はすさまじく、映画「醒めながら見る夢」でのストイックな演技を通して、今回の主役抜擢させてもらいました。

普段はほんわかしたいい青年ですが、仕事に向かう気迫と根性はすさまじい。この人はいつも階段を焦ることなく一段一段登っていく仕事師です。

パリでテロがあった時、村井からメールが届き、「大丈夫ですか?」と心配をしてくれました。ぼくの知り合いでは唯一。笑。その優しさも魅力の一つでしょうね。

将来は日本のアル・パチーノか、ダスティン・ホフマン! 次の仕事も期待しています。大スターになってください。

松田凌とは、はじめて仕事でしたけど、幾つもの隠し手をもった魔術師のようでした。

奥さん役も素晴らしかったけど、犬をあそこまで演じられる役者は世界広しといえ、いません!笑。彼が犬を演じた時、この舞台は勝ったと思いました。

将来が楽しみな新人です。はじめて面会した時、七年前の村井と全く同じことを言ってのけ、驚かされました。

「辻さんって、めっちゃ面白い、めっちゃ面白いです! 楽しみ過ぎて眠れない」

いいこと言います。さらに、稽古中にこういうこともぬかしました。

「ぼく、辻さんみたいなおじいさんになりたい!」

あほか!!!!  笑。

はい。日本一セクシーなおじいさま目指しますね。

玉城裕規は、デカダンスな怪しい魅力を持ったカリスマ俳優ですね。しかし、普段の顔は素朴で物静かでまじめでひたむきな人です。

この人は15年後に新機軸に入るでしょう。SUGIZOも絶賛するキレキレの演技は年齢を重ねることで深さが増す気がします。でも、不思議ちゃんです。いつも何か考えているのか、眺めていて飽きない存在。次回は、めっちゃタフな殺し屋の役をお願いしたいと思っております。笑。

マニュエル・プイグの小説世界、南米文学の香りのする役者です。

馬場良馬は、実力のある戦車のような存在で、ここぞという時の飛び道具感満載。困った時の馬場良馬、という感じ。今回のあだ名は「開発部長」でした。笑。

稽古場では、実は一番、手こづらされました。笑。うるさい!アイデアマンで、まるで演出家のよう。いや、きっと演出もできるでしょう。しかし、今回の6人の中では一番の役者バカでもありました。芝居がしたくしょうがない人間なんです。彼から芝居を奪うことはできません。それだけ自分を持っているんです。この人も30年後くらいが楽しみな俳優で、大器晩成? 味のある名優の要素を感じます。

松島庄汰は末っ子的な存在でしたね。文句ばっか最初は行ってましたが、人一倍稽古熱心で、本番前はずっと客席で走り込みを繰り返しながら、精神を落ち着かせ、台詞を頭にいれてました。実は知性派です。いじられキャラはチームで一番でした。いじるの楽しかったぁ!笑。

実はこの男、アジアのスターになる才能を持っています。行動力と知識欲と好奇心の塊で、いつか、ぼくなんか声もかけられない存在になるかもしれません。あの、なるかもしれない、と思っただけです。笑。

松田賢二は、今回の中で最年長ですが、最高のムードメーカーで、笑いを一番とっていました。ぼくの世代の仲間たちから演技力を一番買われてました。彼の安心感は人柄から出ていると思います。ぼくは彼の嘘のない人柄が好きです。女性自身の担当記者が観劇後、大ファンになった、と明言してました。人柄に触れてもらえるとさらにその人間味が滲みだしてくるタイプの男です。

音楽監督のSUGUZOとはこれで三本目の仕事になりました。右腕中の右腕です。SUGIZOが稽古場にあらわれると、ぐっと空気が引き締まります。ぼくも音楽家だから、彼の音楽の存在感がどれほどこの芝居を盛り上げたか、わかっているつもりです。今後もコンビは続いていくのでしょうね。いい仲間。

東京千秋楽の後、ぼくの行きつけのイタリアンでキャストを招き、乾杯をしました。プロデューサーの松村英幹氏と8人でゆっくり食事をしました。松村さんが今回のキャストを選んだのですが、彼らと過ごした40日間は我が人生の中でも幸福度の高い優雅な時間でした。それが舞台にあらわれてましたね。

右肩上がりの動員、スタンディングオベーション、観客の笑い声とすすり泣く声が、今もぼくの心に染みついています。エネルギッシュなキャスト、そして最高のスタッフに感謝です。再演、楽しみにしているよ!!

まもなく、3月20日の福岡市民会館大ホールでの公演が迫っています。開演は19時から、ぜひ!これは見逃せません!!!

そして、そのあとは3月24日、大阪シアター・ドラマシティで大千穐楽です!ぼくは一足先に戦列を離れ、パリで再び子育てにまい進中です。そうそう、この6人の息子たちの将来も楽しみでなりません。以上、演出家の父ちゃんより、でした。笑。