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ARTICLE2005.01.23

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Article / 2005.01.23

mutter_main — 愛情路線 2005年1月23日

新年の近況から、十代へ向けた「希望」の文章へ続く記事です。

日記の時間を紙と赤い糸で表した抽象イメージ
日記の時間を表す紙と赤い糸

2005年1月23日付「愛情路線」は、新年の近況、執筆と連載の話、福岡取材、世界情勢への所感を経て、新聞に寄稿した「少年少女へ本当のことを」へ続く構成です。

愛情路線 2005年1月23日

新年明けました。なんとも正月早々、大遅刻ご容赦ください。忙しくて、ばたばたしていました。正月直前まで新作の執筆に追われ、前後して友達がパリに来て、それから日本に打ち合せで出かけ、昨日日本から戻ってきたのです。

今年の抱負はそろそろ活発に動こうかな、という感じです。去年はのんびりできたので、今年は躍動の一年です。酒を控え、運動もしたいけど、きっと言っているだけで終わるのではないか、と危惧もあります。ランニングも今は途絶えたままですし。でも、今年ははじめての新聞連載も決まりました。ですから、今年は「書く」の一年になりますね。一人でうきうきしている感じです。

ツナミ被害やバグダッドのテロなど、世界は不安定感をましていますね。世界は警戒を強めています。よりよい世界になりますよう、ぼくは祈るのみです。ここに、今年一月はじめに新聞で発表した十代へ向けたエッセイを掲載します。若い方にも年配の方にも読んで頂けるなら幸いです。多謝。

「少年少女へ本当のことを」

君は君の将来のことを考えると不安になったりするかな? テレビや雑誌で同世代のこどもたちの悲しい事件やニュースを見たり読んだりして、きっと考えることもあるでしょう。世界中で繰り返されるテロ事件や飢餓や侵略や報復や戦争など、力でしか問題を解決することのできない大人たちに対して、情けないな、と思うこともあるでしょう。

世界や大人は残念なことに完璧ではないのです。とっても恥ずかしいことですが、みなさんの見本にならなければならない大人たちが、悪いことをして捕まることもあります。そういうニュースを見るにつけ、君たちが未来に不安を覚えても仕方がないと思います。若い人たちが未来に絶望してこの世界を見捨てる姿には衝撃さえ走ります。でも、これが現実ですし、これも世界なのです。

ぼくはね、こどもの頃、世界とは完璧で美しいものだと思っていました。そして大人とは理想的な尊敬できる人々だと信じていました。でも実際は少し違った。世界も大人も完璧ではなかった。間違いも起こすし、悪いこともいっぱいします。彼らが完璧ではなかったことを知った時、ぼくはがっかりしたし、裏切られたような気になったものです。人が絶望をするのは、信じていたものに裏切られたときですね。だからぼくはあえて君たちに、大人も世の中も完璧ではない、と最初に教えます。これ以上、がっかりさせたくないから。

その上でぼくは君たちにこう付け加えるつもりです。この世界には素晴らしいところも沢山あるよ、と。立派な大人たちの方が実際には大勢いるんだ、ということを。ただ悪い人間の方が目立つだけなんだって。暗いニュースの方が話題になるだけで、本当は感動的な出来事もあっちこっちでしょっちゅう起きているんだ、と。まだまだ世界は捨てたものじゃなく、きっと生きていて良かったと心から実感できることがいっぱいあるはずなんだってね。

それをぼくは希望と呼んでいます。

ぼくは今日まで希望を捨てたことは一度もありません。確かに世界は不完全だけど、でも、素晴らしい世界になるための可能性はある。戦争やテロの現場で、ある人々は自分の命さえも惜しまず活動しています。地震のときだって、日本中から救援物資が届きましたね。困っている人のためにもくもくと働く人がいます。貧しい人たちのために毎朝ご飯を炊く人もいます。そういう活動は目立たないからニュースになりにくいけど、悪いことをする人よりも多くの人が素晴らしい行動を起こしているのも事実。君はどっちに参加したい? どっち側の人間でいたいかな? もちろん、世界のために生きる方がいいよね。そこには希望があるものね。希望がある限り、世界は大丈夫なのです。

君がすばらしくなれば、きっと世界も変わる。時間はかかるかもしれないし、厄介なことも多いでしょう。でもやってみる価値はある。君たちには果てしない未来があるんだし、ぼくのこういう意見に、素直に同意できる若さがある。無限の可能性があるのです。

ぼくはいまだに希望や可能性を持ち続けています。いつかすごい小説を書いて見せるぞって、毎日わくわくしながら生きています。いろいろなことがあったから、順風満帆とはいえなかったけれど、でも、まだまだぼくは自分を信じているし、希望を放棄してはいません。きっと心のどこかで、人間や世界のことを愛しているのでしょう。ぼくも不完全な大人の一人です。よくへこむし、落ち込みます。でも、だからこそ、自分の中のよしを求めて、今日をがんばることができているのも確かです。不完全であることが普通なんです。だからこそ、人はより努力をしようとする。完璧じゃないから人間なのです。わくわくどきどきを探して、ぼくは今日も小説を書いています。

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